腫瘍切除術(皮膚腫瘍切除)
腫瘍切除術(皮膚腫瘍切除)
皮膚腫瘍切除術は、皮膚に発生した良性・悪性腫瘍を切除する手術です。
適応疾患:粉瘤、脂肪腫、母斑細胞母斑(ほくろ)、皮膚線維腫、ガングリオン、脂漏性角化症など、見た目の変化がある疾患や皮膚を触ってしこりが触れるような疾患が対象となります。
まず腫瘍を切り取るためにどのように皮膚を切開するか、デザインをします。人の皮膚には傷あとが「目立たなくなる方向」があります。分かりやすいところで行くと、シワの方向に沿った傷は目立ちにくく、シワの方向と垂直の傷は目立ちやすいです。その腫瘍を切除した後に最も傷あとが目立たなくなるようなデザインを行います。
腫瘍を切除する際、図のように紡錘形に皮膚を切除する必要があります。丸く皮膚を切除すると傷を縫合したときに図のようにキズの両端が盛り上がってしまいます。我々はこれをdog ear(犬の耳)と呼びます。なるべくこれが起こらないようにするには腫瘍よりも若干傷あとが長くなります。


無色透明の消毒液を使用します。少し冷たく感じるかと思います。手術する部位を少し広めに消毒することで術後の感染を予防します。その後、滅菌された覆布をかけて手術する場所の清潔を保ちます。顔の手術の場合、顔全体がおおわれることになります。息苦しかったり、不快感を感じる場合は遠慮せずにお伝えください。
残念ながら痛みを伴います。ここで局所麻酔がなぜ痛いかをご説明します。またそこからなるべく痛くない局所麻酔を行う工夫についてもご説明します。
針を刺すから
当然のことですが針を刺すことで痛みが生じます。もう少し説明すると針を刺すことで痛点(自由神経終末と呼ばれる痛覚受容器)があります。ここは痛みに非常に敏感で、針先が触れた瞬間に痛みを感じます。痛点をなるべく通らないように麻酔をするには細い針で麻酔を行うことが有効です。当院では血液検査を行うよりも細い針で行うことで痛みを最小現にします。
薬が皮膚の下に入り込むから
麻酔薬を皮膚の下~皮膚にかけて入れていきます。そうすると組織の内圧が上がる(膨らむ・腫れる)ことで同様に神経に電気信号が通り、痛みが生じます。これによる痛みをなるべく少なくするのに有効なのは麻酔薬をゆっくり注入することです。ゆっくり注入することで圧変化が小さくなり、痛みが小さくなります。その分麻酔にかかる時間が長くなってしまうのが欠点ですが、なるべく早く痛みを取るのとなるべく痛くないようにするというとこでバランスを取りながら局所麻酔を行います。
麻酔薬のpHによる痛み
麻酔薬は弱酸性でできているもののため体の中に入ると痛みを生じます。残念ながらpHによる痛みをなくすことはできません。その他の痛みを軽減させることで痛みの少ない局所麻酔を行います。
痛みが取れていることを確認した後、メスで皮膚を切開します。局所麻酔をしても触られている感覚は残ります。つままれたり、引っ張られている感覚が残るため若干の違和感を感じるかもしれません。メスで皮膚を切開した後、メスや剪刀を使って腫瘍を切除します。
手術は必ず出血を伴います。そのままだと術後血腫や感染のもとになるため止血を行います。電気メスを使用して止血します。機械音がしますがその他は特にありません。
糸を使用して傷を縫合閉鎖します。術後の傷あとがいかに目立たなくなるかはここにかかってきます。縫合した傷あとはどうしても幅が広がったり、盛り上がったりして来てしまいます。その原因と考えられているのが瘢痕(傷あと)にかかる張力(引っ張られる力)です。どうしても傷あとが引っ張られることで傷あとの幅が広がったり、盛り上がったりしてしまいます。それを防ぐのは真皮縫合です。抜糸をせずに皮膚の下で皮膚にかかる張力にあがらう力(抗張力といいいます)を維持します。張力が多くかかる場所(手足や前胸部など)はより大きな抗張力を得るために皮膚が盛り上がるように縫合します。術後に張力がかかることにより、数か月後に平になり目立たなくなります。逆に顔などの張力がそこまでかからない場所は盛り上がるように縫合するとその盛り上がりが残ってしまうことになります。場所や大きさによって微妙に縫合の方法を変えることできれいに治るようにしています。
最も傷をきれいに手術する方法は「手術をしない」で手術することです。もちろん手術はしないといけないので、なるべく組織を痛めることなく、愛護的に組織を扱うことが重要です。具体例として皮膚を強くつかんだり、無駄に針を刺したりすることのないように手術を行うのが重要です。我々のクリニックでは徹底して組織を愛護的に扱うことで傷あとがきれいになるようにしています。
塗り薬を塗ってガーゼで保護し、テープで固定します。術後の合併症の一つである血腫を予防するために、少し抑えて固定するのが重要です。場所によっては少しきつい感じがするかもしれませんが次の日までは固定を取らずにおくことで合併症を予防することができます。
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