湿疹・アトピー性皮膚炎
湿疹・アトピー性皮膚炎
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アトピー性皮膚炎は、「かゆみ」を主な症状とする慢性的な皮膚の病気です。左右対称に湿疹が出て、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。
アトピー性皮膚炎になりやすい人は、次のような特徴を持っています。
こうした“アトピー体質”を持っていると、皮膚が刺激に弱くなり、炎症が起こりやすくなります。
皮膚には、外からの刺激や細菌・アレルギー物質をブロックする「バリア機能」があります。アトピー性皮膚炎では、このバリア機能が生まれつき弱かったり、傷つきやすかったりします。
その結果、皮膚が乾燥しやすくなったり、かゆみが出やすくなり、そこからさらに悪化しやすくなります。
皮膚の中では、体を守る「免疫細胞」が働いています。本来はバランスを保っているのですが、アトピー性皮膚炎では、ある種の免疫反応(Th2というタイプ)が強くなりすぎてしまいます。
これにより、アレルギー反応が起こりやすくなり、「IgE」という物質が増えて、かゆみや炎症が長引きやすくなります。
さらに「IL-31」という物質が出てくることで、強いかゆみを引き起こし、つい掻いてしまい、さらに皮膚を傷つける…という“かゆみの悪循環”に陥ります。
アトピー性皮膚炎は、単なる「肌の乾燥」や「かゆみ」ではなく、皮膚のバリアと免疫の異常が関係している体質的な皮膚病です。スキンケア・薬・生活習慣の見直しなどをうまく組み合わせながら、長く上手につきあっていくことが大切です。
アトピー性皮膚炎の治療は、皮膚の炎症やかゆみをしっかり抑えることと、良くなった状態を長く維持することが大切です。症状の程度に応じて、段階的に治療法を組み合わせていきます。
症状のある皮膚にステロイド外用薬や非ステロイド性抗炎症薬を使って炎症を抑えることが基本です。最近では、「悪くなってから塗る」のではなく、「悪くならないように予防的に塗る」プロアクティブ療法が推奨されています。
保湿剤によるスキンケアも非常に大切で、乾燥を防ぎ、皮膚のバリアを守る効果があります。
通常はステロイドや非ステロイドの外用薬(塗り薬)、保湿剤による治療が基本ですが、症状が非常に重く、広範囲に強い炎症がある場合や、急激に悪化して日常生活が困難な場合には、ステロイドやシクロスポリンの内服治療が検討されることがあります。
ステロイドの飲み薬は、強い抗炎症作用があり、短期間で症状を劇的に改善させることが可能です。とくにかゆみや炎症が強い場合には、短期間の内服でQOL(生活の質)を早期に回復させる効果が期待されます。
しかし、その一方で、ステロイドの内服は副作用のリスクも伴います。主な副作用には、顔や体のむくみ(ムーンフェイス)、体重増加、胃の不調(胃潰瘍など)、血糖値や血圧の上昇、感染症への抵抗力の低下などがあります。さらに、長期使用では骨がもろくなる骨粗しょう症や、ホルモンバランスの乱れ(副腎抑制)を引き起こすことがあります。以上の点から、他にも多数の選択肢があるアトピー性皮膚炎に対してのステロイド内服の長期使用は原則として推奨されません。
患者さんの状態によっては、ステロイド内服が非常に有効な手段となりますが、自己判断で服用を継続することは大変危険です。使用に際しては、必ず医師と相談し、適切な期間と用量を守ることが大切です。
シクロスポリンは免疫の働きを抑える作用があり、アトピー性皮膚炎に関係する過剰な炎症反応をおさえることで、皮膚のかゆみや赤みを短期間で改善する効果があります。とくに、全身に症状がある方や、急激に悪化した方に対しては、内服開始後1〜2週間ほどで症状が落ち着くケースも少なくありません。
ただし、シクロスポリンには副作用のリスクもあり注意が必要です。主な副作用としては、腎機能の低下(血清クレアチニンの上昇)、高血圧、頭痛、歯肉の腫れ(歯肉肥厚)、多毛(体毛が濃くなる)、吐き気や倦怠感などがあります。特に腎臓や血圧に関する副作用が出やすいため、定期的な血液検査・尿検査・血圧測定が必須です。これらの副作用は、用量や内服期間を調整することでコントロール可能なことが多く、治療の継続が困難になるケースは多くありません。ただし、長期連用には向かない薬剤のため、原則として使用は数カ月以内にとどめます。
ステロイドの飲み薬やシクロスポリンは、症状を素早く抑えるのに効果的です。しかし、長期間使用すると副作用のリスクがあるため、「一時的な応急処置」や「補助的な治療」として、限られた期間のみ使うのが一般的です。治療は厳密な管理のもとで行われ、状態が安定したらできるだけ早く、外用療法や新しい内服薬(JAK阻害薬)や注射薬(生物学的製剤)などへ移行することが望まれます。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下や免疫の異常によって慢性的な炎症が続く病気ですが、近年、その原因となる特定の免疫物質(サイトカインなど)をピンポイントで抑える「分子標的薬」と呼ばれる新しい治療法が登場しています。
この中には、注射で投与する生物学的製剤や、内服薬のJAK阻害薬があり、従来の治療では十分に効果が得られなかった中等症〜重症の患者さんに対して、大きな改善が期待されています。これらの薬は、かゆみや炎症の原因となる物質の働きを選択的にブロックするため、より根本的な症状のコントロールが可能になります。
アトピー性皮膚炎では、皮膚バリア機能の異常とともに、免疫系の偏りとして Th2 (T helper 細胞 2型)型反応が優位となることが知られています。Th2細胞はIL-4, IL-13, IL-31などのサイトカインを産生し、IgE産生、好酸球活性化、皮膚バリアの破綻、かゆみの惹起に関与します。
IL-31の受容体は、末梢神経、後根神経節細胞、 表皮角化細胞などに発現し、かゆみに関与しています。
さらには、IL-31は、かゆみのシグナルを伝達する小型の後根神経節細胞の神経線維の伸長を選択的に促進するといわれています。 かゆみに伴う掻破は、皮膚症状を悪化させ、さらにかゆみが増強するという悪循環(Itch-scratch cycle)を繰り返します。
ミチーガの成分であるネモリズマブ(nemolizumab)は、ヒトIL-31RAを標的とするヒト化抗ヒトIL-31RAモノクローナル抗体で、IL-3と競合的にIL-31RAに結合することにより、IL-31のIL-31RAへの結合及びそれに続く細胞内へのシグナル伝達を阻害し、かゆみの発症・持続・悪化を抑えます。ミチーガはかゆみに特化した注射薬になっています。
かゆみによる掻破や慢性炎症は、皮膚に線維化や苔癬化(角化・肥厚・紅班・盛り上がり)をもたらすことがあります。IL-31シグナルはこのような変化にも関与しており、ミチーガの適応として「かゆみが強い」だけでなく、「線維化・苔癬化した病変が多い」患者さんで有用とされています。
ミチーガは、皮膚症状が中等症以上で、抗炎症外用剤などによる適切な治療を一定期間施行しても十分にかゆみがとれない6歳以上のアトピー性皮膚炎患者さんに適応される注射薬です。
成人および13歳以上の小児では、基本的に60mgを4週間ごとに皮下注射します。
6歳以上 13歳未満の小児では、30mgを4週間ごとに皮下注射します。
ミチーガはアトピー性皮膚炎によるかゆみを和らげるお薬ですが、かゆみだけを治す薬です。そのため、かゆみが楽になった後も、アトピー性皮膚炎そのものの治療(保湿・塗り薬など)は続けることがとても大切です。
また、ミチーガを使っている途中に、赤みがふくらむような発しん(浮腫性紅斑)や湿疹の悪化がみられることがあります。こうした皮膚の症状が出たときは、塗り薬(抗炎症薬など)を併用する必要があります。
デュピクセントは、アトピー性皮膚炎の症状を引き起こす2型炎症(Type 2炎症)という免疫の異常な働きを抑える注射薬です。前述のようにTh2細胞はIL4, IL13, IL31などのサイトカインを産生します。
IL-4は免疫細胞のTh2細胞への分化を誘導し、IgE抗体の産生を促進してアレルギー反応を強め、さらに皮膚バリアに重要なフィラグリンの発現を低下させます。IL-13も似た働きをもち、IgEや好酸球の活性化に関与するほか、皮膚や粘膜に作用して角質の肥厚(苔癬化)や線維化を進行させます。またIL-13は神経のかゆみの感受性を高め、慢性的なかゆみを悪化させる一因にもなります。両者の過剰な働きがアトピーの悪循環を生みます。
デュピクセントの成分であるデュピルマブ(dupilumab)は、IL-4受容体複合体及びIL-13受容体複合体に共通のIL-4受容体αサブユニットに特異的に結合する遺伝子組換えヒト型モノクローナル抗体です。IL-4、IL-13 の両方のシグナル伝達を阻害することにより、アトピー性皮膚炎の病態に深く関与するTh2型炎症反応をしっかり抑える注射薬です。
この薬は、通常の塗り薬などの治療で十分な効果が得られなかった中等症〜重症の患者さんが対象になります。生後6カ月以上の小児の患者さんから使うことができます。
アトピー性皮膚炎に対するデュピクセントの投与スケジュールは年齢や体重によって異なります。
15歳未満では
15歳以上では
デュピクセントは使用中に結膜炎や目のかゆみや乾燥が出現したり、顔の赤みやかゆみが悪化することがあります。また、喘息のある方は吸入薬を急にやめないよう注意が必要です。
アトピー性皮膚炎の発症メカニズムには、遺伝的要素、環境要因、皮膚のバリア機能低下及び免疫調節の不均衡等の複雑な相互作用が関与していますが、特に、免疫調節不全の主な原因は、2型サイトカインであるIL-13の過剰発現によるものと考えられています。アドトラーザの成分であるトロラキヌマブ(tralokinumab)はIL- 13を標的としたヒト抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤です。IL-13を特異的に中和することにより、2型炎症反応を抑制し、それにより皮膚のバリア機能及び微生物叢の多様性を回復させ、炎症、痒み及び皮膚肥厚を軽減すると考えられます。
前述のデュピクセントはIL-13に加えてIL-4の2種類の炎症物質にも作用しますが、アドトラーザはIL-13だけを抑える薬です。そのため、効果の出方や副作用の特徴に少し差があります。たとえば、アドトラーザは結膜炎(目の炎症)の副作用が比較的少ないとされます。
アドトラーザは、15歳以上の方で、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏、保湿剤などの標準的な外用治療を継続してもコントロールが不十分な、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんが対象となります。
初回は、600mg(300mgを2本)を皮下注射し、以後300mgを2週間ごとに注射します。
アドトラーザは体内に長く留まる性質(半減期:約22日)があるので、海外では、治療を始めて4か月ほどたち、皮膚の状態がかなり改善してきた場合には、医師の判断によりますが、注射の間隔を4週間ごとにすることも可能となっています。
アトピー性皮膚炎は遺伝的、環境及び免疫学的因子を要因とする複雑な疾患であり、IL-4、IL-5及びIL-13などの免疫系の調節に関与するサイトカインがアトピー性皮膚炎の発症に関連していることが示されています。その中で、IL-13は2型炎症を誘導することで、 皮膚バリア機能障害、掻痒、皮膚肥厚及び易感染性を引き起こすといわれており、アトピー性皮膚炎の様々な徴候を引き起こす複数の病態生理学的因子を誘導することから、アトピー性皮膚炎に関与するメディエーターと考えられています。イブグリースの成分であるレブリキズマブ(lebrikizumab)は、IL-13に結合して、IL-13受容体複合体(IL-4 受容体αサブユニット/IL-13受容体α1サブユニット)を介したIL-13シグナル伝達を特異的に阻害するするアトピー性皮膚炎治療薬です。
アドトラーザとイブグリースはいずれも、IL-13をターゲットにしている点で似ていますが、抗体のタイプとしてアドトラーザは完全ヒト型抗体であるのに対し、イブグリースはヒト化抗体の製剤です。完全ヒト型抗体は、抗体全体が人間の遺伝子から作られており、最も体に近い構造です。そのため、体にとって異物と認識されにくにくいとされています。一方、ヒト化抗体は、もともとマウス由来の抗体を、できるだけ人間の体になじむように一部だけ置き換えたもので、多くの抗体医薬がこのタイプです。また、アドトラーザはIL-13Rα1 および IL-13Rα2の両方の受容体の経路を阻害するのに対し、イブグリースはIL-13Rα1 のみを阻害します。
イブグリースは、成人および12歳以上で体重40kg以上の小児の方で、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏による外用治療で効果不十分な、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんが対象となります。初回及び2週間後に1回500mg(250mgを2本)、4週以降、1回250mg(250mgを1本)を2週間隔で皮下注射します。
イブグリースの半減期(薬の効果が半分になるまでの時間)は約19~26日と言われており、アドトラーザと同様、体内で長く作用するお薬です。そのため、状態に応じて、4週以降は、1回250mgを4週間隔することができます。
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能の低下と免疫の異常な働きが重なって起こる慢性的な皮膚の病気です。かゆみや炎症を引き起こす原因の一つが、サイトカインという物質です。これらの情報を細胞に伝える経路の一つに「JAK-STAT経路」と呼ばれる仕組みがあり、ここをブロックすることで炎症を抑えることができます。
JAK-STAT経路は、細胞の表面にある受容体にサイトカインが結合したときに、細胞の内部に情報を伝える仕組み(シグナル伝達経路)の一つで、アトピー性皮膚炎をはじめとする免疫・炎症性疾患の発症に深く関わっています。
炎症に関わるサイトカイン(例:IL-4, IL-13, IL-31など)が細胞膜の受容体に結合すると、細胞膜の内側の受容体に結合している酵素JAK(Janus Kinase)がATP(アデノシン三リン酸)によってリン酸化されます。それに引き続き、受容体の細胞膜の内側の部分がリン酸化されます。リン酸化された受容体にSTAT(Signal Transducer and Activator of Transcription)タンパクが結合し、JAKによってSTATタンパクがリン酸化されます。リン酸化されたSTATは2つがペアになって細胞核に移動し、炎症やかゆみに関わる遺伝子のスイッチを入れます。
JAK阻害薬は、このJAK-STAT経路を選択的に阻害することで、IL-4、IL-13、IL-31などの炎症性サイトカインが細胞内にシグナルを伝えるのを止め、かゆみや赤みを和らげる内服薬です。
アトピー性皮膚炎におけるJAK-STAT経路は、サイトカインによる免疫シグナル伝達の中核をなしており、炎症やかゆみ、バリア機能障害といった病態形成に密接に関与しています。以下は、アトピー性皮膚炎で重要とされる代表的なサイトカインと、それに関与するJAKサブタイプ(JAK1, JAK2, JAK3, TYK2)の対応をまとめた表です。
| サイトカイン | 主な作用 | 関連JAKサブタイプ |
|---|---|---|
| IL-4 | Th2分化、IgE産生促進、バリア機能障害、かゆみ | JAK1 / JAK3 |
| IL-13 | バリア機能障害、線維化、神経過敏、かゆみ | JAK1 / TYK2 |
| IL-31 | かゆみの主因、末梢神経刺激 | JAK1 / JAK2 |
| TSLP | 樹状細胞の活性化、Th2応答誘導 | JAK1 / JAK2 / TYK2 |
| IL-5 | 好酸球の増殖と活性化 | JAK2 |
| IFN-γ | Th1炎症性サイトカイン、慢性化への関与 | JAK1 / JAK2 |
まず、IL-4とIL-13は、アトピー性皮膚炎の中心的な病因因子である「Type 2炎症」を引き起こす代表的なサイトカインです。IL-4はTh2細胞への分化やIgE産生を促し、IL-13は皮膚バリアの破綻、線維化、かゆみの増悪に関与します。これらのサイトカインは共通してIL-4Rαサブユニットを含む受容体複合体を利用し、JAK1および**JAK3(またはTYK2)**を活性化します。その結果、STAT6がリン酸化され、アトピー性皮膚炎に特有の炎症性遺伝子の発現が誘導されます。
続いて、IL-31はアトピー性皮膚炎における“かゆみ”の主要な原因サイトカインであり、感覚神経に直接作用してかゆみを引き起こします。IL-31の受容体複合体(IL-31RA/OSMR)は、JAK1およびJAK2を介してSTAT3やSTAT5を活性化し、神経終末のかゆみ閾値を下げ、慢性的なかゆみを助長します。
TSLP(胸腺間質性リンホポエチン)は表皮ケラチノサイトから分泌されるサイトカインで、樹状細胞を活性化してTh2免疫応答を促進します。TSLP受容体複合体はJAK1、JAK2、TYK2に関与し、STAT5を活性化することでTh2優位な炎症環境を形成します。
IL-5は好酸球の増殖・活性化を誘導し、慢性的な組織傷害と炎症を引き起こします。IL-5は主にJAK2を介してSTAT1およびSTAT5を活性化し、血中および皮膚内への好酸球の浸潤を増加させます。
最後に、IFN-γ(インターフェロンγ)は主にTh1細胞から産生されるサイトカインで、ADの慢性期病変において関与することがあります。IFN-γはJAK1およびJAK2を介してSTAT1を活性化し、角化異常やバリア障害の一因となる場合があります。
このように、JAK-STAT経路はサイトカイン特異的なJAKとSTATの組み合わせによって多様な炎症・免疫反応を制御しており、JAK阻害薬の治療ターゲットとして極めて重要です。特にJAK1は多くのサイトカインに関与するため、JAK1選択的阻害薬はアトピー性皮膚炎の幅広い症状に有効と考えられています。
リンヴォック®(一般名:ウパダシチニブ)は、JAK1を選択的に阻害する内服型のJAK阻害薬であり、アトピー性皮膚炎の病態形成に深く関わるIL-4、IL-13、IL-31、IFN-γ、TSLPなど、JAK1を介してシグナルを伝達するサイトカインの働きを抑制します。これにより、皮膚の炎症とかゆみを効果的に抑えることができ、治療開始後数日から1週間程度で症状の改善を実感できることが多いのが特徴です。また、内服薬であるため注射治療に抵抗のある患者さんにも使用しやすい治療選択肢といえます。アトピー性皮膚炎に対しては、通常15mgまたは30mgを1日1回経口投与します。
オルミエント(バリシチニブ)は、JAK1およびJAK2の働きを抑える飲み薬です。JAK1はIL-4、IL-13、IL-31、JAK2はIL-5、IL-6、GM-CSF、EPOなどに関わります。オルミエントはこの両方を抑えることで、より広範な炎症のコントロールが可能です。また、この薬は関節リウマチや円形脱毛症にも使われており、皮膚以外の症状にも効果が期待されます。一方で、JAK2も抑えることで、血液をつくる働きに影響し、貧血や白血球の減少などの副作用が起きる可能性があるため注意が必要です。アトピー性皮膚炎に対しては、1日1回、2mgまたは4mgの錠剤を服用します。
サイバインコ(アブロシチニブ)は、JAK1を選択的に抑える飲み薬です。JAK1はIL-4、IL-13、IL-31などのサイトカインの働きに関わっており、特にかゆみの原因となるIL-31に対する効果が高いとされています。サイバインコは、海外の臨床試験でも「かゆみの改善効果」が非常に高く評価されており、強いかゆみに悩む方にとって有力な選択肢です。また、効果の現れが早く、服用から1週間以内に改善を感じる方もいます。用量は50mg、100mg、200mgの3種類があり、患者さんの年齢や症状の重さに応じて医師が最適な量を選びます。前述の2剤に比較してやや胃腸症状(悪心など)が出やすいとされています。
アトピー性皮膚炎では、IL-4, IL-13, IL-31, TSLPといったJAK1に関与するサイトカインが病態に深く関わっています。そのため、JAK1選択的阻害薬(リンヴォック、サイバインコ)は特にアトピー性皮膚炎における炎症とかゆみの両面に有効とされています。
一方、JAK2はIL-5(好酸球)やIFN-γ(慢性炎症)にも関与するため、JAK1/2の両方を抑制するオルミエントは、より複雑な炎症状態や他の免疫疾患合併例にも応用可能です。
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