腋臭症(わきが)・多汗症
腋臭症(わきが)・多汗症

腋臭症とはいわゆるワキガやおすみ呼ばれることのある疾患です。「おすみ」とは関西地方で昔から言われる呼ばれ方です。医療用語ではありませんがご高齢の方を中心に使われることのある呼ばれ方です。今ではあまり使われることはありません。一般的には「ワキガ」と呼ばれることが多い印象です。
ワキガ(腋臭症)とは、アポクリン腺由来の体臭が原因です。汗そのものは無臭ですが、アポクリン線から分泌される脂質やタンパク質を含む汗が皮膚表面の常在菌により分解されて特有のにおいが発生します。遺伝性の要素が大きく影響するものです。遺伝的にアポクリン腺が発達している方の状態を指すものなのでそういう意味では疾患(病気)というよりは特徴のようなものです。
・特有のにおいがする。
・家族にも同じ体質の方がいる。
・湿性耳垢(耳垢がしめっている)
・他人から指摘されることがある
アポクリン腺が多い場所として、腋窩の他、耳孔や陰部があげられます。それにより耳垢の状態と腋臭症の関連があるといわれています。体臭に関してはご本人よりも周りの方のほうが気づきやすいという特徴があります。本人はあまり困っていないということもあります
治療方法は大きく分けて手術と保存療法があります。保存療法は制汗剤を使用したり、塩化アルミニウムなどの塗布剤を使用したりすることができます。いわゆる多汗症の治療でも匂いの軽減が図れる場合があります。わきの神経をブロックすることでわきの汗を抑える方法で、ボトックス注射や抗コリン薬(エクロックゲルやラピフォートワイプなど)で神経伝達をブロックすることで発汗を抑えます。またポクリン腺の量を減らす医療機器などもあります。
手術療法についてはこちらをご覧ください。
多汗症とは文字通り、汗が多く出てしまう疾患で日常生活に支障をきたすほど汗が多い状態をいいます。汗は本来体温調節のために必要不可欠なものですが、気温や運動量にかかわらず大量の汗をかいてしまう場合は多汗症が疑われます。腋臭症はアポクリン腺が主な原因ですが多汗症の場合はエクリン腺並びにその支配する神経に原因があります。
特に多い部位は
・手のひら
・足のうら
・わき(腋窩)
・顔や頭部
です。
①原発性多汗症
明かな原因となる疾患がなく体質的に汗が多いタイプです。
・思春期頃に発症することが多い
・家族内に同様の体質がみられることがある。
・左右対称に発刊する。
手掌多汗症や腋窩多汗症などが代表的です。
②続発性多汗症
何等かの病気や薬剤などが原因で起こる多汗症です。
・甲状腺機能亢進症、糖尿病、更年期障害、精神疾患、薬の副作用
などです。急に症状があらわれたときなどは原因検索が必要となります。
■ 原発性局所多汗症の診断基準
日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、原因となる基礎疾患がなく、6か月以上持続する局所的な過剰発汗を前提に、以下の項目のうち 2項目以上を満たす 場合に原発性多汗症と診断されます。
必須条件
明らかな原因がない局所性の過剰発汗が6か月以上持続
追加項目(2項目以上)
1.両側対称性にみられる
2.日常生活に支障をきたしている
3.週1回以上の頻度で発汗エピソードがある
4.発症が25歳以下
5.家族歴がある
6.睡眠中は発汗が止まる
となります。
■重症度評価
HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)が用いられます
| スコア | 状態 |
| 1 | 汗は気にならず、日常生活に支障なし |
| 2 | 汗は我慢できるが、時々支障がある |
| 3 | 汗はほとんど我慢できず、頻繁に支障がある |
| 4 | 汗は我慢できず、常に支障がある |
臨床で最もよく使われる簡便な重症度スケールです。
HDSS 3以上で中等症~重症と判断し、積極的治療の対象となります。
多汗症に関しては腋臭症と異なり、手術療法による治療は難しい疾患です。それはエクリン腺がアポクリン腺と比べ皮膚の浅い場所にあるためです。エクリン腺だけを取り除くことができず、皮膚も一緒に取るしかないためです。
今まで塩化アルミニウム製剤が主な適応でしたが、最近保険適応の抗コリン製剤が治療の選択肢となります。エクロックゲルやラピフォートワイプなどです。これは神経伝達をブロックすることで汗を止めることができます。使い方を間違えるて目につくと散瞳してしまったり、口喝、排尿障害などの副作用があります。そのため緑内障や前立腺肥大などの既往がある方は使用できません。
抗コリン薬を使用しますが、上記の副作用が出るため注意がひつようです。
汗腺を支配する神経の働きを抑制するので腋窩のみならず手掌などにも使用できます。
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