
傷あと
傷あと
けがや手術、ニキビなどのあとが目立つ状態です。赤く盛り上がったり、かゆみや痛みを生じたりする疾患を肥厚性瘢痕・ケロイドといいます。かゆみや痛みが生じている場合はテープやステロイド注射、内服薬などで落ち着かせることができます。見た目を良くしたい場合、手術により傷あとを可能な限り目立たなくさせることができます。また当院ではCO2フラクショナルを導入しており、手術をせずとも傷あとを目立たなくさせることが可能です。これらの方法を使用し、可能な限り傷あとを目立たなくさせることができるのでお気軽にご相談ください。
擦り傷や切り傷、ニキビ、あるいは手術によるキズが治ったあとに、時間の経過とともに赤みが消え、肌色から白色に近づいていく自然な経過をたどる傷あとを「成熟瘢痕」といいます。この成熟瘢痕は、一般的には痛みやかゆみなどの症状を伴わず、機能的な問題もないため、美容的な観点から治療を希望される方が多いですが、通常は健康保険の適用外となります。
キズが治ったあとも赤みが続き、盛り上がってみみずばれのような見た目になることがあります。これが「肥厚性瘢痕」と呼ばれる状態です。特に関節や首など、体の動きによって皮膚が引っ張られる部位にできやすく、炎症が慢性的に続きやすいため、落ち着くまでに1年から5年と長い時間を要することもあります。
ケロイドは、肥厚性瘢痕に比べてより強い炎症を伴う瘢痕の一種です。小さなニキビ、毛嚢炎、ピアスの穴、あるいはBCG注射痕など、目立たない傷でも発症することがあり、特に「ケロイド体質」と呼ばれる遺伝的な素因をもつ人に多く見られます。また、明らかな傷を負っていないように見える部位に突然生じることもあります。発症しやすい部位としては、胸や肩、下腹部、耳たぶなどが知られています。
肥厚性瘢痕やケロイドを適切に治療せずに放置していると、時間の経過とともに瘢痕組織が硬くなり、周囲の皮膚や筋肉を引きつれさせて関節の可動域が制限される「瘢痕拘縮」に進行することがあります。瘢痕拘縮が進行すると、リハビリや保存療法だけでは改善が難しくなり、場合によっては瘢痕を切除して再建する外科的治療が必要となることもあります。
傷あとやケロイドの発症には、傷の部位や状態などの局所的な要因と、体質やホルモンバランス、生活習慣などの全身的な要因が複雑に関係しています。これらの要因が重なることで、より重症化しやすい瘢痕が形成されることがあります。
家族に同様の症状がある場合、遺伝的要因が影響している可能性があります。現在もそのメカニズムについて研究が続けられています。
肥厚性瘢痕やケロイドでは、赤みやかゆみ、痛みを伴い、時間が経っても改善しにくいのが特徴です。皮膚が盛り上がり、押すと硬く感じる場合もあります。関節部では動かしにくさや引きつれ感が出ることもあり、日常生活に影響を与えることがあります。また、症状が進行すると、瘢痕拘縮により運動制限や変形を伴うこともあります。
これらの症状に一つでも心当たりがある方は、早めに形成外科の専門医に相談することをおすすめします。早期に適切な治療を受けることで、症状の進行を防ぎ、生活の質を保つことが可能です。
傷あと、肥厚性瘢痕、ケロイドの診断は、形成外科の専門医による視診と問診を中心に行われます。発症した時期や部位、どのように症状が変化してきたかなどを詳しく伺いながら診察します。さらに、必要に応じてエコー検査で傷あとが皮膚の奥まで及んでいないか、硬さや深さの程度を確認することがあります。まれに病理検査を行い、炎症の程度や瘢痕の性質をより詳しく調べることもあります。こうした検査結果をもとに、一人ひとりの症状に合った治療方針を立てていきます。
ステロイドや保湿剤を用いて炎症を抑えます。
シリコンシートや加圧包帯などで物理的に瘢痕を抑えます。
ケナコルト(ステロイド)などの注射で隆起や炎症を軽減します。
色素沈着や盛り上がりの軽減に有効です。
液体窒素などを用いて患部を凍結し、組織の再構築を促します。
赤みや炎症に対して行われる場合があります。
ケロイドや瘢痕を外科的に切除し、皮膚を再縫合します。
拘縮がある場合には、機能改善を目的とした皮膚の移動・移植が行われます。
これらの治療法は、症状や体質に合わせて組み合わせて行うのが一般的です。
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